投稿日：2018年05月09日

こんばんは、岡本です。

前回に続き映画の話です。
先日『ゲット・アウト』という映画をレンタルで観ました。
一時期話題になった作品で、映画好きの友人達からも口々に面白いと聞いていました。

内容は黒人男性の主人公が白人女性の彼女の実家へ挨拶に行き、
そこで奇妙で不気味な体験をするというものです。
舞台は一貫して彼女の実家とその周辺であり、派手な画面演出も無く、つまり典型的なB級映画です。

話題になった割には典型的なB級映画ですが、監督は元々コメディアンで、映画は今作が処女作だそうです。
限られた予算の中で観客を引き込むには、サスペンスというジャンルが最適なのだと思います。
漫画家の荒木飛呂彦先生が『エンターテイメントの基本はサスペンス』と仰っていました。
氏のデビュー当時の読み切り作品にはサスペンス色が強いものが多く、
センセーショナルな内容で無名から一気に話題を掻っ攫うのに適する、という意味で映画にも通じる部分があると思います。

内容の個人的な感想としては、不安を煽る演出が素晴らしかったです。
彼女の実家には黒人女性の使用人がいますが、じわじわと主人公に向かってにじり寄る演技は誰もが戦慄するでしょう。

主人公は黒人であり、内容もあからさまに差別に対するテーマが伝わってきます。
そして、監督も黒人の男性です。
作中に登場する白人の彼女の親族は、一見主人公に対して好意的な態度を示しますが、
結末を観たあとに振り返って見ると、全て現実社会に対する風刺・皮肉に見えてきます。この構成が素晴らしいです。

我々日本人には実感が薄いですが、あちらでは今もなお相当に深刻な問題なのだということがこの映画から伝わってきます。